「あっれ〜なんで天井が見えるんだろう」
「押し倒されてるからじゃない?」
「あーそっかそっか、
って納得できるかー!!!!」
繰り出したパンチはツナの頬にあたらず、
相も変わらず憎たらしいツナは、体を横にそらし避けていた(畜生!)。
でも体勢を変えたツナの下から抜け出せた。
「おま、部屋に入ってきていきなり押し倒すヤツ居る!?」
「居るけど」
「うぜぇ!」
もう、ぼっさぼさになってしまった少しだけ長い髪をはらう。
ちょっと切りに行かなきゃな。
「たくよ〜」
「男みたいだね」
「うっせ!」
ツナは学校と家では態度が違う。
全く、何でこんな捻くれて育ってしまったのか。
「ありえない確率だよね」
「は?」
まぁいいや。
とりあえず、ツナの部屋を見渡す。
相変わらず(ワザと)散らかってる部屋。
「掃除しろよ」
きったねーな!
「別に良いじゃん」
「良くない!ゴキブリ出るよ!」
「よくそういうこと普通に言えるよね」
本当の事じゃないか。
「あ、そうだ本来の目的忘れるトコだった、
はいクッキー」
「ポイズンクッキングじゃないよね」
「失敬な」
食べて卒倒するくらいマズイってことですかコノヤロー。
「ん〜75点」
「ごめん素直に喜べない」
「そりゃそうだろうね」
このサディスティック野郎!
…でも美味く出来たと思うんだけどな〜。
「どれ」
ひとつつまんで、
よく噛んでみる。
「…美味い」
「普通自分で言う?」
「い、いいじゃん!美味かったんだから!」
食べさせないよ!というと、
あ、それはダメとクッキーの入った容器を私から遠ざける。
ほれみろおいしかったんじゃんか。
「そういえばさ、この間のテスト何点だった?」
「31点」
「ぶはっ!」
「笑うな」
頭をガシリとつかまれる。
あ、出る出る!脳味噌出るからやめて!
「大体猫かぶってるからそうなだけで、こんな問題楽勝だったし」
「うわ、最悪」
ツナがテストをひらひらさせて、見下したような目線を送る。
なんだコイツ。
今世の中に出て行っても上手く生きていけそうな気がする。
…上司の弱みとか握って。
「…今何か失礼な事考えただろ」
「………………………………………まさか」
「考えたんだな」
とりあえず睨まれた。
怖い。
「こういうのを蛇に睨まれた虫って言うんだろうな」
「蛙ですけど」
「虫でいいんじゃね?」
「ヒドッ」
私は人間だ!
「もうやだ泣きたい」
「外で泣け」
「最悪だな!」
床に寝そべって、溜め息をつく(ほっぺにさっきCDケースがあたって痛かった)。
クッキーに手を伸ばして、わざとちみちみとかじる。
あ、ココア…(ほんわ〜)。
「おい、こぼれるだろ」
「…………………………………」
「シカトか」
ふーんだ、絶対に声をあげるものか。
「の昔の恥ずかしい話、ビラにしてばら撒こうかな」
「すいませんごめんなさいだからやめて」
さっき誓った誓いはものの10秒で打ち砕かれた。
畜生。
コイツやるといったら絶対にやるよな。
本当有言実行だよ。
半分になったクッキーの食べ賭けを一口で口にほうりこむ。
……………
「…………………げほっ、ごはっ、はっ!」
「バカじゃない?」
クッキーの粉が喉に…
我慢してたけどむせてしまった。
ああ、惨め…
「水!」
「無い」
即答かよ!
てか咳が、止まらない。
「」
名前を呼ばれたからふっと振り向くと、
…あっれー、なんで、ツナの顔がドアップなんだあっはっは(壊)
「ちょ、ごほっ!」
まぁ、想像していただけるであろうシーンから、
唇をすぐに離した。
なんでか?
「むせそうになったからだよォォォ!!!!」
「は?」
「てめー、げほっ、いきなり、ごほっ、キス、えへんっ!
あああああウゼェェェェ!!!!」
「アハハハ」
本気で今目の前に居る悪魔の皮をかぶった大魔王を殴りたくなった。
アクセル全開!!
(しかもちょっとドキドキしちゃったじゃないか!)(…やべーちょっと緊張したかも)