何処だ此処。
You take my hand

帰り道。

まぁいつも通り花や京(京子)と一緒に自分は帰っていたわけだ。
二人とも女子の話に花を咲かせて、可愛いなぁ、なんて呑気に思っていた。

ふと、欠伸が出て、ふぁ、と口を開けたとき、
何かがこっちに向かって飛んできた。

とりあえず、爆発物っぽかったので、
避けられもせず(だって目の前だったし)

ああグッバイ人生。とか思ってたんだけど。

ボフン!

「……………天国?」

にしちゃあ来るの早くない?
しかもなかなか高級そうな…部屋?
普通天国って和風っぽいんじゃないかな(あ、でもそれは仏教とかそういうのか)

普通は苦しみながらぱたりと倒れて、
段々体が天に向かってくでしょ(まぁ、普通だったらね)
結果。

「死んでないな、コレ」

うん。手暖かいし。

よく花に「って恐ろしいほど冷静よね」といわれる。
確かにそうかもね。
でも私の兄はあの、





雲雀恭弥だ。





いちいち驚いてるのが面倒くさいんだ、きっと。
あんな常に危険を自分からくっつけてるような人の近くにいたら、
冷静になりたくなくても冷静になってしまうというものだ。

「何処だ…こ「!?」」

自分の声にかぶって、誰かの声がする。

「ん?」

あ、沢田。

「えっ、何で十年前のが此処にいんのー!!!????」
「十年前?」

眉を寄せて、沢田に問い返す。
ああ、恭兄の癖が移ったかな。

「…十年前。ということはここは十年後なのか?」
「(恐ろしいほど冷静―!)う、うん、そう…」
「そうか」

ふむ。

「此処は何処?」
「え…と、の仕事場!」
「…そうか」

何か聞かれたくないようだったので、聞かない事にした。
それにしても、自分はこんな高級そうなところで働いているのか。
ホテルかなんかか?

「それで、沢田は何で此処にいるんだ?」
「えっと…ちょっとに書類をね」

よく見ると、沢田の手には紙の束。
そうだったのか。

「偉いな、お前」
「わっ」

背が高くなってしまったようだが(元々私は沢田よりほんの少し小さい)
手をのばして頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

「もーやめてよ!」
「ごめんな」

照れる沢田は可愛い、と思った(もう二十歳にはなってるよな)。

「…あれ?もう五分たったんじゃないかな」
「?」
「あ、ううん、なんでも無い!」

五分?

「じゅーだいめー書類一枚…落として…」
「あ、獄寺君」
「…隼人か」
「ゲッ!なんで十年前のが…」

ゲッって…お前酷いな。
隼人はハッとした後怒りだす(まったく、表情がころころ変わるやつだ)。
という事は。

「…他にも誰かいるのか?」
「あー…うんまぁ」
「おい獄寺ー」
「あ、山本」
「あれ??…縮んだ?」
「「いやいやいやいや」」
「プッ、いや、10年前の、だ」
「あー成る程」

コイツは変わらないなぁ。
というか、全員変わってないな。

「おーい、お前らー十年前のがいるぞー」
「おまっ、何言ってやがんだ!」

山本…。

「それは本当ですか!」
「わ」
「!!」

思いっきり抱きつかれた。
骸に。

うぉー。
骸でっかーい。
いや、元からだけど。

「あ、しっぽ」

パイナップルに尻尾…!!
かわいっ…!!(笑)

「ふふ、久しぶりー」
は可愛いですねクフフ!」
「?ありがと」

アレだな、いつもは「って女の子にモテるよね」
とか「カッコイイ!」って言われるから(まぁ髪短めだし)
可愛いっていうのは新鮮だな。

「おお!極限にだな!」
「あ、了、なんでもかんでも極限つけちゃ駄目だと思う…」
「そうか!」
「分かってる?(笑)」

変わらないな。

「おや?」
「あ、ランボ」
「…ねぇランボ、ランボのせいでここにいるんだよ」
「!?俺の所為ですか!?」
「クフフ、そうですよ、貴方の所為ですよ」

…みんな集中攻撃がそっちに行ってるね。
…ランボかわいそうじゃない?

「ちゃおっス」
「あ、赤ん坊…じゃないか」
「そうだぞ」

…以外と背高い。

「私より高いな。まだ小学生じゃないのか?」
「違うぞ」
「…?」

まぁ、いいか。

「骸さ…」
「骸さー…」

あ、

「犬とちくじゃないか」
「…ほぇええ!十年前の!?」
「そうだが?」

本当に何年経ってもコイツは犬だな(笑)。

「ちく」
「…何」
「お前も変わんないなー」
「そりゃ、そうでしょ」

くすくすと笑いがこぼれる。

殿!」
「ワォ」

あ、恭兄の癖が本格的に移ったな。

「…?何か、違いますね」
「十年前だからな」

そう言うと、バジルはぽんと手を打って、「ああ!」という。

「お久しぶりですね!」
「うん、本当ひさしぶり」
「あれ、姉?」
「わーフゥ太!」

ひょっこりとバジルの後ろから姿をあらわしたのはフゥ太。
うん、かっこよくなってるぞ(笑)。

なんか十年前も十年後も変わんないな。

「こんなところで立ち話もなんだし、あっち行こうぜ?」
「だな」

山本の提案に隼人が乗る。
その時だった。





「何で十年前のがそこにいるの?」





「…あ、恭兄」
「…ああ、君か」

恭兄がランボをじっと見て笑う(ランボがおびえてるぞ)。

「ふぅん…」
「…恭兄髪きったのか?」
「…まぁね(に言われてきったんだけど)」
「そうか!結構似合ってるぞ」

笑うと、ふわりと浮き上がる感じがする。

「恭兄!?」
「いつまでもたってたらの足がかわいそうでしょ」

横抱きにされた。…あーあれだ、「お姫様抱っこ」ってやつ。

「クフフそうですね」
「わ」

骸が私の片手を持つ。

「じゃあ、お茶でもする?」

沢田が頭を撫でる。くすぐったい。

「よっしゃーとお茶!」
「煩い…犬」

犬と千種が、鞄を拾う(ああ、持ってきてしまったんだっけ)。

「ほら、ちょっとはお洒落しろ」
「あ」

あかんぼ…じゃないリボーンが花瓶にあった薔薇を
私の制服のリボンの中心にさす。

「ぷっ」

やば、噴出した。

「…みんな変わらないなぁ、」

そう言ってふわりと笑った。





ボフン!





「もどってきたか」
「あっ、ちょっとアンタ大丈夫!?」
「あれ?花、ここにいた女の人いない…」

…私はどんな人だったのだろうか。

「気になるが」
「「?」」





十年後まで待つとするか。





そう思って、放心していた二人を呼んで、家に帰った。
胸の薔薇は、家に帰って、お風呂に入れた。