とりあえず急がないと!殺される!それだけはカンベン!

、なんか飲みモン買ってこい」
「は?」

携帯で呼び出されて、
真撰組の屯所で総悟に言われた言葉はそれだった。

「なっ、携帯で呼び出しといてそれだけの用事で!?」

チャキ

「なんでぃ、なんか文句でもあるんですかィ」
「…無いです」


チクショー!
一般人に警察が使ってんじゃねーよ!

「じゃあ行ってこい!」
「あたしは犬!?」


そう言いながらも私は走り出した

短い裾の着物は、走りやすい。
人の多い町で、走ると言うのは迷惑だけれども、
もう慣れてしまった。

上手く
するりするりとかわして、
目的の赤い箱へと走る。

あーあ、アタシもブーツはこうかなぁ。
道行く人は、皆おしゃれだ。
あたしだっておしゃれなのに、走っているせいでぐしゃぐしゃだ。
まったく、総悟のせいだ。

でもそんなこと言ったら黒い笑み
「なんですってぃ?」
刀を突きつけられる事であろう。

まったく、曲者だよあいつは!



てか、走りながら思考回路を巡ってて
思ったんだけど。

アタシは何でそもそも年下のあいつにぺこぺこしてるんだ?(といっても一歳違いだけど)
あたしと総悟の関係
総悟とは、幼馴染
ご近所さんだったから、遊んでた。

いつも綺麗なお姉さんが、
ちゃん、総悟、よろしくね」ってあたしに言っていた。
総悟も顔だけは綺麗だもんなァ。

「ちくしょー!!!わ、若くないせいか、息、切れる!」

いや、若いんだけどさ。
普段そんなハードな事をしているわけでもない私の体は、
とりあえず煩い位に心臓が早まる

角を曲がって、見えた自販機

あった!

「って全部売り切れ!?」

ありえない!
あ…そういえば、こんな事があった。



「総悟!」
「なんでィ」
「あんたホント大魔王だな!」
「は?」


その時、アタシは今のように使いっパシリにされてて、
駄菓子屋にお菓子を買いに行っていた。が、

「駄菓子屋!もうお店閉店してたわよ!」
「…」
「その次の駄菓子屋さんは、用事で居なかったしその次は事故があって入れなかったし!
あんた知ってたんでしょ!」
「…しらねぇですぜ」
「…マジでか」
「マジ」




とまぁ、なぜかパシリにされるときだけ不幸が重なるのである。
オーノー
それから、やっぱりあたしは昔からパシリだった。

というより、犬とご主人様だ。(アタシが犬か…嫌な表現だ)
「取って来い」と言われて「取ってきます!」と言う主従関係になっている。

「ハァ…ハ…ッ」

く、苦しい
やっと見つけた自販機。
ちゃあんと、残ってる
お金を入れて、ボタンを押せば、ゴトンと音がする。

さて、早く帰らなければ



「ハァ…ッ、ッ」

声にならないくらいに走って、
あの憎たらしいやつの元へと向かう。

「そぉごー!!!!!」
「!」


顔が真っ赤になって、頭くらくらする。

「なんでィもうかってきたのか」
「このサディスティックヤロー!」


どんだけ
はしらす気だ!

「ハァ」

とりあえず座る。苦しい。腹筋が…。

「えい」
「ぎゃあああああ腹おすな!」
「なんでぃ凹ませてやろうと思ったのに」


別の意味でへこんできた。

が顔に張り付いてうざったい。
あつい。なんでこんなに
着物って暑いんだろう。

アタシは気をまぎわらわすために、総悟に話し掛ける

「なんであたしたちって幼馴染なのに、アタシの方が権力とか下っぽいんだろ」
がそういう属性なんでさァ」
「嫌な属性だな!」


総悟はそれに、と続ける

「ただの幼馴染じゃないですぜ」
「は?」
「俺にとっては」

何だソレ。





「俺にとってはは恋愛として好きなヤツですぜぃ」
「は…」
「兼パシリ」
「今のでぶち壊しだよ!」






ちくしょう、ドキドキしちゃった。
スピードに
加わる優しさ

(ちくしょう!アタシだって好きだもんね!)