「おはよう御座います」

彼はそう言ってクス、と笑った。



ゆさゆさと揺す振られる感覚がして、黒髪の彼―雲雀恭弥―はもそもそと
包まったシーツから顔を出した。

重たい瞼を緩々と開ければ、自分と同じ髪の色が目に入る。

「…

上手く回らない舌でそう言うと、彼はニコリ、と笑った。

そして冒頭に戻る。

「おはよう御座います」



雲雀は目を擦ると欠伸をする。
窓から白いような、黄色いような光が差し込んでいた。

「…ん」

少し身体を伸ばすと

「おはよ」

雲雀はそう言った。
しかしまだ眠そうである。

雲雀は寝ぼけ眼での方をゆっくりと向いて、
の首に向って手を伸ばした。

そしてに抱きつく。

「…寝てはいけませんよ?」

は苦笑する。

「分かってる…」

の首元で頭を動かす。
髪が当たって、くすぐったい。

少しすると雲雀は緩々と離れ、
ベットから起き上がった。



ゆっくりとシャツを羽織る。
一応は部屋には居ない。

自分がそう言ったのだ。

着替え終わると、重そうなドアをゆっくりと開けた。


今日も一日が始まる。




そしてその夜。

「ふぁ…」
「もうお眠りになられた方がいいのでは?」

が少し笑いながら言う。

「うん」

大きな椅子から雲雀は立ち上がる。

そしてのほうへ向かうと少し背伸びをして
頬に唇を押し当てる。

「お、おやすみっ」

雲雀はパッと離れ、少し駆け足で寝室へと行った。
雲雀の顔は真っ赤だった。

残されたは、ほんの少しだけ笑った。





「お休みなさいませ恭弥様…」





ぶほうへ
(言えないんだ苦しくて、執事の君が好きだって事)(臆病なんだよ、僕は)