京子は止まっていた。
指のネイルを乾かすために。

色はベビーピンク。



コン、とノックする音がする。

「はーい」

視線は手のまま返事をする。

「失礼します」
「あ、

この彼は執事だったりする。

「どうかされたのですか?」

こちらに視線が来ない事を不思議に思い、
京子の近くで喋る。

すると(悪気は無いのだが)
低い声が耳にかかる。


「ひゃ!」
「!」


…しまった。
ついつい手を握り締めてしまった。



「そういうことですか」
「うぅ…」

は苦笑して京子のメイクボックスをもつ。





「塗りなおしてあげます」







ドキドキする。
このドキドキが彼に伝わらないようにと思う。

でも分かっちゃってる気がする。
どうしよう。
頭の中だけ、勝手に進んでいく。
いろいろ考えて。
京子の頬がぽっと
爪に塗ったベイビーピンクと同じ色になった。

彼は笑い、顔をあげる。





「塗り終わりましたよ」





オトメモリアル
(恥ずかしかった!)(でも名残惜しいや…)