「!オレの服って何処だっけ!」
「その椅子の上にありますよ」
「え、あ、わぁ!あつっ」
「大丈夫ですか?」
「う、うん…」
ああ、もうなんでこんなにオレはダメツナなんだろう!
*
…ちゃんとたたんでおいた服が見当たらなかった。
昨日何処へやったのだろうか。
「!オレの服って何処だっけ!」
「その椅子の上にありますよ」
あ、ホントだ。
少し駆け足で椅子へと向う途中、顔面から転んでしまった。
その拍子にテーブルクロスを引っ張ってしまう。
が用意していた朝の紅茶が宙を舞って、
いい香りのお湯が頭の上から降り注ぐ。
「え、あ、わぁ!あつっ」
「大丈夫ですか?」
「う、うん…」
は落ち着いた顔でハンカチで紅茶をぬぐっていく。
少し冷めていたようで、すぐ熱さは消えた。
せっかくたたんでおいた服は見事に濡れているのだ。
「どうしましょうか」
実はここ最近、雨がよく降るため、
洗濯物が早く乾かないのだ。
代えの服が無い。このままにしてしまえば、当然風邪を引くだろう。
「ご、ごめん…」
「別に気にしていませんよ。ズボンはあったはずですから、
私のシャツを貸しましょう」
そう言っては自室へと向った。
*
体格が違うので当然綱吉にはぶかぶかだったシャツ。
腕まくりをして、少し気まずく紅茶を飲む。
はたった今、濡れた服を洗濯し、帰って来た。
「…ねぇ、」
「なんでしょう?」
「ごめん」
「…」
「いつも迷惑掛けて」
「…そんなことは無いですよ」
は柔らかく笑う。
「頼ってくれればいいんですよ。私は
執事なんですから」
Anything For You
(ほっとするんだ)(いつか離れていっちゃうかもしれないなんて思って)