「オイ、カタツムリの。買い物行くからついて来い」
へっ……?





……
内心、ドキリとしてしまった私って一体。











こんにちはです。





今は幼馴染のそーご君と買い物に来ているのですが。





「(
し、せんが……!)」





私の隣にいるそーご君に注がれる羨望。
昔から、顔が整っていますからね。小さな頃は、よく声をかけられていたものです(そーご君が)。





そして……
私に注がれる嫉妬。





ちくちくと痛いのです。
痛いのですが……。





お腹の底から湧きあがる、ぞくぞくとした何か……。
くすぐったくて、嫌ではないのです……しかし……。
変な、気分、です。






……
うー。





ツボ押しされている気分です。
痛気持ちいいみたいな…………はっ!私は何を!





「(
私ってば、おかしくなってしまったのでしょうか!?)」

あうー!と唸り頭を振る私に、そーご君が冷たい声をかけました。

オイカタツムリの。ちゃっちゃと付いてこい。





……
あ、カタツムリだから無理か
はへっ!?(どくどくどくどくどくどく)





ひ、酷い……!





しかし、そんなことより
さっきから心臓が活発に動いていて死にそう!
ふ、普通ならそーご君を責める、べき、なのですけど……。






震える体を抱き締めて、そーご君に返した。





そ、そーご君。カタツムリ、はやめてください

その瞬間、
ぎろりとそーご君がこちらを睨む。





どくどくどくどく。





収まってきていた心臓がまた活発になり、顔に血が巡る。


あ?カタツムリのクセに口答えするなんて……

侮蔑の混じった目線。
見下した態度。





が、しかし、しかし……ッ!






「(
ぞ、ぞくぞくする……!)」





指がぴくぴくと麻痺。
心臓が動きまくっている。

周りの人の、怪訝な視線。
私への、嘲笑。





まるで、恋に落ちたような感覚……!






……
がくがくと、膝に力が、ガガガっ、入らナ、く、なって……

あ、あ、あ





もう、
らめぇっ……!





失礼しますうううう!
「オイ、!」





そーご君の言葉も無視して、私は走って逃げた。











うう……ごめ、なさい……
はぁ?聞こえないですねィ」





昔はこんな風じゃなかったんですよ、とそーご君の擁護に走る脳味噌。

私は10分後、無事そーご君に捕まってしまい。
今は屯所で土下座中。
私の頭にはそーご君の足。






うう……鍛錬していた隊士さん達が何ごとかと見てきますよう……。





……
けど、けど!





「(
やっぱり何かぞくぞくする……!)」





羞恥心より先に、胸から弾けだすような何か。
温度で言うなら適温。
寒くも、暑くもない。
温い、何か。

……そうだ、冷たい指を、お湯につけるような。





ごときがよそ見してんじゃありやせんぜ
ヴぁっ





顔をつかまれてそーご君の方を向かされた。
目線が、隊士さん達の方を向いていてしまったようで……。





鋭い目に、何か淡い期待のようなものが芽生えて……





って、
何言ってるの私!?





そーご君が、汚い物を見たように、顔を歪めた。
その顔に、背中に電流が走る。

「……
顔がニヤけてますぜィ
ヴぇっ!?





う、嘘だ!





そーご君は、
続いて嘲笑。
頬にこめる力が増える。

苛められて喜ぶなんて……とんだマゾですねィ、
!?ヴぉ、ヴぉー!

にっこりと笑って、そう言われた。

違う!と叫びたいのに、頬をつかまれていて上手く喋れない。
その状況に、息が上がって頬が熱くなっていく。

やだ、コれ、興奮みたいで、
やだ、イヤ、「





名前を呼ばれて。






もっとイジめてほしいですかィ?





ぶわり、と。





花が咲くように嘲笑された。










私は知らず知らず
頷いてしまっていた。










快楽悦楽
(何て破廉恥!)