「骸」
「はい?」





「誕生日、おめでと」





「…え、何で、知ってるんですか」
「犬達騒いでたからなー」

そう言って笑う
ニ時限目の放課後。ここは職員室。の机から離れた場所に数人の教師。

骸は、出し忘れていたノートを出しに来ていた。

「昨日さ、様子が変だったじゃん」





”…何でも、無いですよ”





昨日の自分の何ともおかしな思考回路に骸はかあああと顔を真っ赤にする。
昨日はただ、そう言う気分だっただけで。
今思えば、馬鹿馬鹿しくて、恥ずかしい。

「んで、なんでだろーって思っててさ、調子わるいんかなぁ、とか思ってたんだけど、
今日朝犬達が話してるの聞いたら誕生日だって言うじゃん?」
「はあ…」
「うん、だからもしかしたら、と思ってさぁ」

骸はきょとん、としてから、少し眉を下げてくすぐったそうに笑った。
少し、顔が赤い。

「クフフ…ありがとう、ございます」

それにつられても微笑みながら骸の頭をぽんぽんと撫で再び言うのだった。

暗号のワルツ
「誕生日、おめでと」