「おい、大丈夫か柿本?」
低めの声が、頭に響いた。
「……」
「顔色悪いぞ……おい、六道」
「はい?」
夜中。
肝試しをする事になって、偶々今は、神社に集まっている……のだが。
生憎、自分は頭が痛い。
骸様が呼ばれて、こちらへやってくる。
「大丈夫ですか千種」
「……大丈夫、です」
「先生、駄目です、休ませた方がいいですよ」
「!」
やっぱりお見通しなのか……。
なんとも、今のやり取りは無駄だった気がする。
……が、自分の二の腕を取る。
けれども、それが気に入らないから、手を振り払った。
「……あー、六道、じゃあ、ちょっと柿本やすませてくっから」
「分かりました」
骸様は藍色の髪を揺らして犬の方にかけていった。
あの人が、少しだけ寂しそうな顔をしていたのが見えた。
なんで、こんな奴に。
は、もう一度自分の手を取った。……めんどいし、振り払うのを止めた。
「水飲むか?」
「…」
部屋までつれられて。
返事をする気も起きない。
この人は、よく自分に飽きずに構ってくると思う。
「柿本」
「五月蝿いです」
目をそっと閉じた。
眼鏡が、今は少しだけ重い気がして不愉快だった。
でも、それよりも、なんで自分に構ってくるんだ。
「……悪かったな。戻るから、ゆっくりしてろよ」
「……ぁ」
立ち上がり背を向けたに、声が、掠れた。
咄嗟にやってしまったことに、自分でも驚いて目を見開いた。
も、目を見開いている。
…………最悪。
「えーと……柿本?」
「…すいません」
の、青いTシャツの裾を掴む手を離した。
消えて
今の感情は、何なのか、認めたくない自分が、いる。