「いたっきやーす」
「何ですかそれ」
「ん?頂きます」
「ひゃはー原型とどめてねーじゃん!」

今は昼時。
生徒たちは弁当を広げたり、購買で買ってきたパンの袋を開けたりしていた。
を中心に周りには生徒用の机と、それに座る生徒たち。
気さくで叱るときには叱るしっかりとしたに、生徒たちは親しみやすかった。
は手を合わせると何ともいえない「頂きます」をした。

「先生、それ手作りですか?」
「ん?六道よく気がついたなぁ!そ、愛妻弁当!」

もー俺って愛されてるよねーと言う
骸が何気に口を引きつらせたのは幸い誰も気付いていない。

「ふへーって奥さんいるんれすか」
「こら先生をつけやがれ。それと今のはちょっとしたジョークだジョーク。
本当は自分で作ったのー」
「へー」
「…城島、何故俺の弁当をつまむ」

犬はさりげ無く自然な動作でから揚げを指でつまむ。

「クフフ」
「…」
「柿本、六道、お前らまで何故つまむ?」
先生!私貰いますねー」
「俺もー」
「じゃあアタシもー」
「こら!宣言したからって貰っていいわけじゃねーぞ!
俺の食うぶんなくなるだろーg「うめー!」」
「おまっ、食うなよ!」

焦りながらは弁当箱を持ち上げて、自分の顔の近くまで寄せると
早食いした。

「せんせー早食いすると喉詰まりますよー」
「お前らがつままなきゃいい話だろうが!」
「だっておいしそうだし」
「誉められてもあげねーからな!」
「チッ」
「おまっ、舌打ちするなよ!」

お前らなぁ…と言っては苦笑すると、
購買で買った「いちごオ・レ」を口に運ぶ。

「あー!」

その様子を見ていた犬ははっとして叫んだ。

「…なんだよ城島、吹きそうになっただろー」
「汚いです、先生」
「それ俺がほしかったやつ!」
「知らないって」
「俺の!」
「いや、違うだろ」

呆れた顔をしたは溜め息を吐くとストローを口から出す。

「…甘すぎたし。やるよ」
「!ありがとーれすっ!へへ!」
「おー」

ふにゃり、とが笑うと、
一瞬犬は固まった後、ぼん!と顔を赤くした。

くじら12号
先生、あの後、六道君が城嶋君を軽くシメてました。