「おるああああ」
どごんっ!
そんな音を立ててボールが地面に跳ね返りました。
中本さんは、それを避けながら眉間に皺を寄せます。
ボールは外野である敵の手に。
「センセー、女子を狙うなんて最低ですね見損ないましたよ」
「お前女子ってカンジじゃねーだろ」
「うわ、訴えますよ」
ねぇ六道くん。
中本さんが後ろを向いて、同意を求めてきました。「そうですね」
同意した瞬間、横をボールが…おや、一人当たりましたね。
あちらのコートの外では、外野である千種が溜息をついています。クフフ、どうかしましたか?
「骸までそっちの味方か…っ!」
「ドッジボールですから」
先生は、眼鏡を外し、いつもよりはしゃいでいるように見えます。
そんな顔をされると、こちらも、少しだけ嬉しくなる。
跳ねたボールを軽々と掴むと、ゆっくりと振りかぶりました。
「千種、行きますよー!」
「どわああああ!ロクドー!俺ら狙いながらカキモトにパスすんなあああ!」
クラスメイトの声が聞こえましたが無視ですね、無視。
僕は先生と仲間の声にしか最低限は反応しないんです。
「クハハッ!」
「うわ、骸すっごい笑ってるよ」
…貴方だって、笑っているじゃありませんか。
コートの支配者
「くらえ日頃の恨みいいい!」「犬煩い…恨みなんて無いでしょ」