「大丈夫かー?」
「…」
ありゃりゃ、そっぽ向いちゃったなー。
俺の投げたボールを避けた六道は…まぁアレだ、運悪くコケた。
ちょうど終わりのチャイムが鳴ったから保健室直行(保健の先生は不在だったけど)。
骸は今、水で濡れた膝小僧を出して、口を結んでいる。頬が赤いから、照れてるんだろうな。
こいつも意外と可愛い一面があるんだよな。まだ中学生なわけだし。
ちびちびと消毒液を塗っていると、膝に影が差した。
見上げれば少し俯く骸。
「…どうした?」
「先生、」
「ん?」
「…あの、」
…口篭もってるな。どうしたんだ?
骸はぱっと顔を上げた。…うわ、赤っ!(顔が、赤いな)(照れか)
「僕、その、あの、」
「…えーと」
うん。
とりあえず。
ぐりぐりと頭を撫でてやった(ていうかあの葉っぱの部分にさりげなく触ってみた)。
骸はきゅ、と口を結んでいる。
目線を床に落として、宥めるように言った。
「笑わないから…。誰にでもよくある事だし」
「…はい」
「気にしないの。俺はそんなに気にしてないし。まぁ、クラスの連中はどうか、」
知らないけど、の声がかき消された。
骸が、俺の頭を抱え込み、俯いていた。
「骸…?」
「寂しかったから、」
「は?」
「…、何でも、無いです」
またぼかしたよコイツ。
顔を上げた骸は、淡く苦笑していた。
SMILE
寂しい、か。孤立は、嫌だって事だろうか。