「えー10月に合唱祭がある。まぁ、2、3年は不良ばっかだからどれだけ出るか分からないが、
とりあえず今から用紙を配る。課題曲の選択な。番号書いて、書いてある日付までに提出する事!」
藁半紙をぺらぺらとめくり、は生徒へと渡す。
ぱらぱら、という小さな音が教室に溜まる。
犬は紙を一瞥すると、少しだけ眉をひそめた。
「がっしょーさい?かったるいれすねー」
「おお城島、サボり宣言か?…サボったらシメるぞ」
「…あーい」
情けなく返事する犬。
藁半紙には、4つの曲項目。
中本が手を上げた。
「せんせーこれ、他クラスとカブったらどうすんですか?」
「ジャンケンとか、話し合いとかだな」
「ふーん」
はふむ、と腕を組むと、足元に置いていたラジカセを持ち上げる。
ラジカセには、一つのカセットテープが入っている。
「じゃあ今から順番に、課題曲をかける。よーく聞けよ!」
歌
穏やかな午後に、ピアノの音が鳴り響いた。