「…失礼します」
「あれ、柿本?」

俺が時田先生と話していると、
職員室の戸が開いて、柿本が入ってきた。

「どした」
「…これ、持ってけって言われました(…うざったい)」
「あー…山田先生だな」

柿本はこくりと頷く。

プリントの束を受け取って
ぺらぺらとめくり確認をする。

「うし、ありがとなー…あ、そうだ時間あるか?」
「…まぁ(何)」
「これ、資料室にはこぶの手伝ってくれ。いいか?」
「…」

頷いた柿本を確認して、
ダンボールを持ち、柿本に資料を持たせる。

職員室を出て、リズム良く階段を登っていく。
…足が少し痛い。

4階は教室やなんかが使われていない。ほとんど物置き場。
少し奥に進めば、屋上への扉がある。

資料室の鍵を開けて、
ダンボールを机に置く。

夕方だからか、室内がオレンジ色だった。

「ありがとな」
「…別に」
「…なぁ」

ずっと気になっていたこと。

「柿本ってさ、俺嫌いなの?」
「…は?」
「いや、六道とかと一緒にいるときはあいつらに合わせてるけどそれ以外は…あー何ていうんだ」

「…嫌いです、けど」
「あ、やっぱり」

当たり。

「…馴れ馴れしいし、」
「あーなるほど」
「…ただ、本能的に嫌い」
「そうなの。
ま、いいけど。
別に全員が自分を好いてくれるとは思ってないし。
ピーマン嫌いなやつに無理にピーマン食べさせようとしても無駄だろ。
…って例えが何か微妙だなぁ…」
「…」

そういうと、少しだけ柿本が目を見開いた気がした。
何故に。

「時間取らせて悪かったな!言うのもなんだけど、早く帰れよ、危ないし」
「…」
「お前偉いなー」
「は?」
「そうやってしっかり生きてるんだからさ」
嘘と橙の光
我ながら、馬鹿みたいな事してしまったなぁ!