「香川ー。あれ?香川休み?」

出席をとっていた先生が、ぽかんとして顔を上げた。
前のほうの俺の席の隣は寂しくぽつんと誰も座ってはいない。香川の席だ。

「先生、聞いてないんですか、休むとか」
「いんや。聞いてないけど」

そんな会話がされた後、こんこん、と戸を叩く音がした。

「ちょい、待って」

はーい、と言いながら先生が戸を開けると、
そこには時田先生がいた。
二人で何か話しているようだった。でも、きっとあの雰囲気からして緊急とかではないだろう。

暫くして先生は時田先生に頭を下げて教室へ戻ってきた。
そして何事も無かったかのように(実際大した事は無いのだけれど)出席をとりはじめた。

「せんせー結局香川どうしたのー?」
「ん?何か休みみたいよ」

ふと、ぐるりと周りを見渡せば、香川の席を除いてもう一つ席が空いたままだった。
その隣には、艶やかな髪を某南国果実にしている六道がいる。

「(五月病、かな)」

そう思いながら先生が自分の名前を呼ぶまでぼうっとしていた。
帰りに寄っていってやろう。
憂鬱な陽だまり
アイツ、ゲーム好きだったっけ。