今、まさに人間離れした戦いが目の前で行われていた。
こちらへ向かって飛んできた火の玉を、
は二人を掴んで横に思いっきり投げる。
「っ!」
「…く」
「いつまで持つかしら?今は無力なそいつらを庇いながらね」
「…」
友枝がすばやく口を動かし、何かを呟く。
と、先端のとがった棒が何本も恭弥と骸にめがけて飛ぶ。
咄嗟にはそちらへ高速移動する。
空中に舞って、二人の前にバリアを張り、棒ははじかれる。
は地に足をつけ、すぐに離れる。
が離れた場所には棒が何本も刺さっていた。
また地に足をつけたところで思い切り
宙へと舞う。その姿はどこか人間離れしたものがあった。
友枝が、指を指すように手を恭弥と骸へ向ける。
「…」
は咄嗟に友枝に背を向けるように二人の前に立つ。
ドシュッ!
「「!」」
何本もの棒が、の胸と腹部のあたりを貫く。
棒から、赤黒い血がぽた、ぽたとたれる。
眼鏡が落ち、割れる。
「!」
「…っ!」
「…恭弥と骸は動かなくていい」
は無表情のまま喋る。
「平気」
「…っ、全然平気そうに見えないですよ…」
骸は辛そうに言う。
「…」
ずぼ、とは棒を一つ抜く。
血塗れた棒を下に落とせば、カランと音を立てた後、
パソコンのキーボードに変わった。
「それだけやられちゃえば、他の情報に干渉してる暇は無いわよね?
じゃあ、とどめね」
友枝の両手が、大きな刀に変わる。
「死んで?」
ドォン!
思い切り二本の刀がを貫く。
の体が思い切り揺れて、少し宙に浮き上がり、
地に足がつかない状態になる。
恭弥と骸の顔には返り血が飛んでいた。
はその刀に手を乗せ、自分の体を支える。
「…終わった」
「何が?貴方のそのどうでも良いような人生が?」
「違う。
情報解除、最終連結解除開始」
先ほどのパソコンキーボードが、さらさらと砂に変わる。
に刺さっていた棒も、消えていく。
「…なっ」
「…貴方は優秀。だからこのプログラムを解除するのに今まで時間がかかった。
でももう終わり」
「…ああ、侵入する前にプログラムを施してたのね」
「そう」
「あーあ、残念だったなぁ、上手く行くはずだったのに」
友枝は残念そうな顔をする。
友枝の体は徐々に消えていた。
「良かったねーちょっとだけ長生きできて。
でも勘違いしないでね、急進派は私だけじゃないかもしれないもの。
それにさんの操り主が、意見を変えるかもしれないし」
友枝は、満面の笑みでこう言った。
「じゃあね」
そして顔が消えて、さらさらと砂になった。
ドサッ
が倒れる。
「!!?」
「ちょっと、大丈夫じゃないじゃないですか!」
二人は駆け寄る。
は、ゆっくりと閉じていた目を開けた。
「…大丈夫」