「外部的損傷は問題ない。まずこの空間を再構成する」

友枝の攻撃で、
瓦礫の山のようになっていた部屋が、元のリビングに戻っていく。
いつも置いてあるこたつも戻る。

を支えていた恭弥と、骸が目を見開く。

「…後は、外部的損傷」

の傷がゆっくりと消えていく。
二人はほっとしたように息を吐き出した。

「…」

はすべて傷を消した後、少しはっとしたような顔をして、
手のひらで顔をぺたぺたと触る。

「どうしました?」
「…眼鏡を…再構成するのを忘れた」

恭弥は、の前髪をかきあげた。
そこには、大きな目が瞬きする、整った顔があった。

「…そっちの方が、似合うよ」
「そう、ですね」

二人がそう言うと、が少し笑った気がした。

+++++

「はぁ…疲れました」
「…ごめんなさい」
「別にが気にすることじゃないから」
「…下妻友枝の異常に気付けなかったのはこちらの責任」
「もういいですって」

ふ、と骸は笑う。

「それより、助けてくれて有難う御座います」
「…別にいい。悪いのはこちらだから」

恭弥はふ、と、の手を引いて、自分の膝の上に乗せる。

「ちょっ、何やってるんですか雲雀君!」
「良いでしょ別に」
「……」

にぎゅっと抱きつくと、少しだけ、香りがする。
ちなみに相変わらずは無表情だ。

「だって、ずっと六道と話してるし」
「(男の嫉妬は見苦しいですよ…!!)」

の知らないところで、実は自分争奪戦が開催されている事は知る由も無い。

+++++

今日は三人で寝る事にした。

ちなみに、をはさみ、
川の字である。

「…骸」
「…?なんですか
「…どこかで空間の歪みが何度か生じている。
もしかしたら」
「…帰れるかも、しれないですか」
「そう」
「…そうなんだ」

雲雀も寝返りをうって、話に参加する。

「僕は…(とは、一緒にいたいですねぇ)」
「…ってさ、こっちの世界にこれないの?」
「……出来ないわけではない。ただし言語で説明は出来ない」
「ふぅん」

恭弥はの右手を握る。
それに対抗するように骸は左手を握る。

「…」

は少し不思議そうな顔(というより雰囲気)をするが、
その後気にせず、寝てしまった。

「「…」」

は渡さないから」
「…それはこっちの台詞ですよ雲雀君」

お互いにらみ合ってから、目を閉じた。

+++++

「おっはよーう!ねぇねぇ下妻友枝って…あれ?」
「どうしたハルヒ」

ハルヒが顔を輝かせ、のもとにやってくる。
後ろには疲れた顔をしたキョンも居た。

おそらくハルヒが上機嫌なのは、突然の転校をした友枝の事だろう。

が、眼鏡かけてないのよ」
「は?」

キョンがハルヒを押しのけて、の顔を覗き込む。

「あ」

眼鏡が、無い。そして、可愛い。

ーっ!やっと外す気になったのね!可愛いわよ!」
「…痛い」

ぐりぐりと頬擦りするハルヒ。
それをキョンは不思議そうな顔で見ていた。

「これからはみくるちゃんといっしょにコスプレできるわね!
…………ねぇ」
「どうしたハルヒ」

急に大人しくなったハルヒに気付き、
キョンが声をかける。

「元気ないわね、。おなかでも痛いの?」
「…そういえばそうだな」

キョンも同意する。
無表情のだが、どこか雰囲気が元気無かった。

「…何でも無い」

そういうと、は本を読み出したのだった。

「…大丈夫かしら」
「大丈夫だろ」
「…私、には笑ってて欲しいのよ」
「(いつも笑ってない気がするが)そうだな」
「あんなに可愛いくて…。すっごく癒しなの。
…でもなんか今日は元気ないわね」
「…」

ハルヒの目は、とても真剣だった。

ふざけているときの目でも、世の中の不思議を探しているときの目でもない。
ただ、親友の「」を心配する目だった。

「(どうしたんだ…ハルヒが大人しいとこっちが怖いんだよ…
なあ、元気出してくれ。お前は、俺の





好きなヤツで、頼れる友達なんだから)」