絶対にウルウル目にはやられないぞー!オー!(何)

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜

ヤダ!
「なんでだよぉ!」

片手を顔の前で振って無い無いと表わす。

今私は高そうな椅子に座って向かいに座るディーノとお茶をしていた。
が、突然ディーノが「キャバッローネの執事にならねぇ?」とかぬかしたので
お茶吹きそうになった。
何しやがんだこのやr(黙れ)

「だって、執事やってたんだろ!?」
「それとこれとは関係ナシ!」
「ある!」

平和になったキャバッローネの屋敷。
音が微かにしかしないのがどこか虚しくて寂しい。





ディーノのお父さんの葬式が終わって3日。





ディーノが跳ね馬になった日、私はあの食堂に居た。
ディーノとロマさんが危ないから、といって私をそこに預けたのだ。
つまり、戦ってもいないし、どうなったかも知らない。

でもここにディーノがいるってことは小説どおりに進んだんだろう。
ていうかディーノちょっと傷がまだ残ってるし…

「大体なんで?そんなのいらんでしょーに」
うっ…だ、だって今人手が足りないし」
「いやいや人手が足りなかったらこんな風にお茶してませんから」
「…そ、それにが居たら、いろいろと役立ちそうだし…」
「私戦えないよ」
「それでもいいんだ!」

ふぅ、と息を吐いて頬杖を着く。

いや、別に戦わないのなら執事になっても良いとは思うの。
思うけど…

だったらぶっちゃけ私じゃなくても大丈夫じゃね?

確かに友達だし、年上だし…でもそんなのディーノの性格だったら
いっぱい他にも居るでしょうが。




私はクッキーをリスのようにかじって俯くディーノをじっと見る。

「…あの、さ」
「うん?」

何かデジャヴ。

「その、さ、オレ、実は」
「うん」
「まだ…なりたくない、とか、思ってるんだ」
「うん」

泣きそうな顔で眉を下げたまま笑うディーノ。
しどろもどろな口調は指でつんっと押せば堤防が決壊して
涙が出てきそうなくらい震えている。

私もこういう顔になったことあるなぁ。

「皆も守りたい…けど、でも、どこかで、逃げたいと思ってる」
「うん」
「口先ばっかり、なんだよ」

少し目線を下に向けたディーノ。

私は、










パンッ!










「!?」

がばっ、と顔を上げたディーノの目からぼろり、と大きな涙が不意にこぼれる。
ディーノはそれに気付いて目を擦る。

「私ね、昔やってて今でもやる癖があんの。
こうやって両手を鳴らして、切り替え!暗い!ってね」
「?」
「私さ、じめじめしちゃってるの苦手なんだ」

私はロイヤルミルク色をした椅子から立ち上がって
両手を伸ばして、背筋を伸ばす。

背筋がピキピキと鳴る。

私はディーノじゃないからディーノを
傷つけるようなアドバイスをしちゃうかもしれない、
ディーノが怒るような助言をしちゃうかもしれない。

だから、私だったら、で聞いてね。





甘ったれるんじゃない!





………………………………とかそんな事は言わないよ

後ろを振り向いて、ディーノを見てにやりと笑う。

私だったら良くわかんないや。
どうすれば解決するのか、どうすれば苦しまずに済むのか


考えるうちに、皆の意見を聞くうちにごちゃごちゃして
絡まったいろんな色の糸。
それにまで苦しんで泣いて、結局頭の中には何も無くなったけれど。


「しょうがないから生きるわ。何度踏まれたって、泣きたくなったって、
畜生この運命め!バカヤロー神様!とか言って生きる」

手を大きく振って力説する。
人間ピンチになったときに生を感じるものだよ!

ホラー見た時とかな。(おま)

そんで、いつかたまたま答えが見つかったら、それでよし。
たまたまそれが消えていたらそれもそれで終わりよければ全てよし


いつだって行き当たりばったり。
時には計画を立てるけれど、
最終的に自分の目で見た「」を選ぶ。

無駄な時間もご結構!自分の時間なんだからご自由に!
泣きたきゃ、今思う存分泣いとけ!私が、知っててあげっから


そういうとディーノは。











「…〜っう、〜っ…
「よーしよし!」

顔を思いっきりゆがめてぼろぼろと泣いた。

乗り越えよう!なんていざ思ったって結構むずかしかったりするんだよね。
でも、

「口先って意外と大事よ?」

自分との約束が出来るから、いつか、果たせるかもしれない。

「オレ、頑張る事に、する」
「おお、そうすんの?」
「辛いかもしんねぇ。…そしたら、んとこで泣いていいか?」
「勿論!何時まで居れるかはわかんないけどね!
しゃーない!執事の件引き受けたる!
「ま、マジで?」
「おーよ、本気と書いてマジと読みますが

アンタみたいなの、あぶなっかしくてほっとけないんだから、しょうがなくよ
しょうがなく!(ツンデレ風に)


……調子乗ってすんませ(本当にな)

〜!」
「ちょ、もう悩殺される…!!!!

かわいいわこの子〜!!!
すりすりと抱きついてくるディノカワユス。やべぇやべぇ。うへへ。

私は数分後ディーノが少し照れて離れるまでにやついていたのだった。




















っと

手から滑り落ちそうになった紙袋を咄嗟によっ、と声をつけて
持ち上げる。

ううむ、こんなどっかの夢小説のお嬢さんみたいな事を
やるとは思わなかったなぁ。いや、雑用だけど。


すたすたと歩きながら道行く人の挨拶に笑顔で(にやけてないだろうか)
返す。

その時だった。





ピッ!





「……………………」

何かが凄い勢いで後ろから私の頭を掠め
少しだけ髪の毛がハラハラと散る。

恐る恐る髪を触れば、そこは少しだけ不格好に短くなっていた。

、やぁあ!」

後ろを振り向かず煩くなる心臓に目と口を開いたまま
手から紙袋を落として
ビビって、地を蹴って逃げる。






ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ。





逃げなきゃ。





パン!





破裂音。
それが余計に私を急かす。

落ち着け、落ち着け、落ち着け。

「っ、空間の再構成!

思わず叫んだ言葉に町が歪んで、
人が居なくなる。
というよりも、室内へ戻っていったようだった。

その光景に驚いて、熱が冷めていく。

ハッ…ァ…ハァ…ッ

……っやっべぇええええええ!!!!!!!!!!(シリアスぶち壊し)

何コレ!?
確実に狙われてる!?
俺なんか狙ったって何もでてきやせん!(泣)
ていうか紙袋置いてきちゃったよチクショー!

…とりあえずここらへんから出なきゃ。
店とか家が、





パンッ!





「あひいいい!」

銃弾が飛んでくるのを認識して、
バック転で交わす。

…が、日頃こんな事はやらないので反った背中と腕が痛い。(ゴキッつった)
着地失敗して軽く足ひねったし(別にそこまで痛くなかったけど)
よく成功できたモンだよ!(泣)

というか間一髪で避けられるあたりセバの力が効いている。
よよよよよかったー!

とりあえず逃げるが勝ち!

力いっぱい地を蹴って。

なんかもう突然ヒーローになっちゃった気分である。
チクショォオオオオオ!!!

私のマイチキンハートは以前テレビでやっていた
高速タイピングをする人の指並
に早く動いている。
ていうかこんな命のやり取りの中でこんな事考えられるなんて奇跡だよ!
ワーイ!(爆)

パン、パンッ!

ぎゃああああああああワーイじゃねぇよド畜生ー!

一発間違ったら御陀仏だ。
即死間違いなしの所以外に当たれば空間の再構成でどうにかなる。










とりあえず私の生死を賭けた冗談ではすまない九死に一生スペシャル
幕を挙げやがったのであった。





パァン!
っふおぉおおい!






























2008.3.4