今日、寒いなぁ。

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜

「ハァ…」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」

パソコンの前に突っ伏してぐたーっとしている私にお母さんが声をかける。
とりあえず頭がんがんするなぁ。

「ねぇ、じゃあちょっと手伝ってくれない?」
…………

人の話聞いてた?

そう言いそうな口を閉じて、しぶしぶ手伝った。
なんでお母さんはいつもそうなのかな。

手がひりひりする。
冷たい。まぁ…昔一年中半袖で過ごした事あるから此れくらいはまだマシなほう。

はぁ…と息をはけば、体がすかすかになっているような
そんな感覚がする。目を閉じれば、肌寒さと、ゆるゆるとした温い温度がある。

「あ、そういえば今日誕生日だね」
「そうだよ…(昨日も言ったじゃん)」
「じゃあケーキかってこなくちゃね」
「うん(早く行ってくれ)」

お父さん帰ってこないかなぁ、とぼうっと思った。
お父さんは好きだ。話とか趣味とか、価値観があうし。


ていうか、生クリームのケーキ苦手なんだよ。
頭痛くなるから。

みんなどうしてるかなぁ、と友達の顔を頭にずらずらと並べる。
…名前思い出せない、え、と、あー…

「これだから引きこもりって困るわぁ」

うう…と呻き声を出して喉を鳴らしながら、パソコンの電源をつける。

「とりあえずHP更新…」

カタカタと赤くシンプルな文字で「ハッピーバースデー俺(笑)。」と打つ。
まったくわらえねぇ。

「はぁ…」

拍手の解析を見れば、また今日も沢山のコメントが。
すこし嬉しくなって、ふふ、と笑う。

ぼうっとしながら前方にあるヘッドフォンに手をそろーっとのばし、それを掴む。
抹茶色に少し頬を緩ませながら、耳にかける。

はじめに流れたのは、椎名林檎の虚言症だった。

「わー…」

丁度聞きたいと思っていた曲に意味の無い言葉を発しながらも、
頬を机に押し付けるように突っ伏す。

音が耳の中を揺さぶって、いい気持ちだ。

〜♪

口走りながら、コップに氷と水を注いでそれを飲む。
目から意味も無い涙はぽたぽたと垂れる。
小さな水溜りが出来て、それを服でぬぐう(汚い…)。






暫くして、ふと、拍手解析を更新した。





「…わぁ

さっきまで少しだったコメントがまた膨れ上がっていた。
大体誕生日についてのコメントだった。

「…〜♪

さっき乾いて、残るは目に張った膜だけだった涙が、又ポロリとこぼれた。
はじめは熱い水が、顎に来ると冷たくなっている。

ただ、嬉しいのかよく分からないけど、歌詞を口ずさんだ。

額に手を当てて、息を吐いて、はは、と笑う。
涙が止まらなくて、喉で詰まる。
苦しい、けど、嬉しい。

鼻水がずるずる出てきて、鼻がスースーする。

「わ、きたな」

そういって、自分でもわかったけれど眉を八の字にして
笑った。





そして、こっそり頭を下げながら呟いた。










どうも。






























2008.1.15