うむ。

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜





ごちそーさま





からん、とスプーンを、空っぽになった皿に放り込む。





お粥って苦手なんだけど以外と美味しかったな……。
今度つくろ。






「んじゃあ、寝ろよ」
「あーい」

ふふふ、実はMZDも同じお粥食ってたんだぜ!
なんで?って聞いたら「目の前で美味いモン食ったら怒られると思った」らしい。





……コイツ、いとおしい。





ぽふ、とベッドに体を預け沈黙していたら、
皿を片付けてきたMZDが帰ってきた。


「…

ベッドの前に置いてある椅子(神様の自前)に腰掛けたMZDをぼうっと見つめる。
MZDが不思議そうにしていたので、ごまかすようにへら、と笑った。





ら。





「…、…」
「(…え)」





このかみちゃまぎこちなく笑ったよテラカワユスウゥゥゥゥゥゥ!!!(爆発)





かわゆいかわゆいよ今の。
神様かわゆいよ神様。






頭をぐりぐりしたくなって、
布団から手を抜いて、宙に浮かせて、





はた、と止まった。






「…?」





この間、散々イジめちゃったからなあ…。
……やめとこ。

すごすごと、未練がありながらも手を引っ込めようとしたとき、





MZDが手首を掴んで、私の掌を自分の頭に乗っけた。





っ!






な、何かデジャヴ……。……あ、有希か。
MZDは照れているのか、俯いてだんまりを決め込んでいた。





な、撫でていいんだよね?





きゅんきゅんする気持ちとにやにやしそうな顔を押さえ。

口を一文字に結んで、ぽんぽん、と叩くように撫でた。





うわ……猫が懐いたみたい……(最悪)





少し撫でてから、手をゆっくりと下ろした。
何を言うか迷って、結局「もう寝るね」とか言ってしまった。

馬鹿……!





MZDは短く、「おう、」とだけ言うと、席を立った。
なんとなく表情も分からず、私はくるり、と横を向いた。





視界に広がるのは真っ白な壁。
耳に入るのはぺたぺたという退室の音。











「……神、様










足音が止んだ。





……よーし、落ち着け、私の心臓。
落ち着けー餅付けー。










「……あり、がとう、ね
「…」










…よし、言った!多分!





けれども沈黙に耐え切れずに、私は掛け布団にくるまった。

わ、我ながら二次元臭い事をしてしまったぜ…!










「…
「(どうわっ!)」










ギャァアアアア!とか叫び声を上げなかったのは良かったものの、
驚いて全身の筋肉がぴん、と張った。

まだ帰ってなかったんかィイイイイイ!!!!!!










「…いいぜ。友達だし










その言葉に、
指がぴくりと反応してでもそれよりも早く掛け布団を剥いで、





「…





そこには、悪戯っぽく笑う、MZDがいた。





「…友達、ですか」
「友達です。嫌か?






ふるふると首を振ったら、何故か、堪えきれなくなったのか、










MZDが爆笑した。










ええええええええ今のタイミングで爆笑かよ!?」
「やべえ、今の呆け顔ウケるー!
ウケるー(笑)じゃねえよ!ちくしょう感動返せ!
「だ、だってよ…ぶはっ!ぎゃーははははは!
さ、最悪だこの人…!





欧米人の如き爆笑を目の前に、私としてはどうコメントすればいいのやら。





「おま…さー」
「…」
「友達だと、思ってなかったわけ?」
「いや、思ってましたけど…
なんか、おこがましいかなって、
変なトコ謙虚だな
チキンなんだから仕方ないだろこの神様が

でも。





………そっかー。友達かー。友達。ともだちねぇ。





ふへへ…
何だコイツ
友達!友達!うへへへへ
気持ち悪いから早く寝ろ
容赦ないところも友達っぽい!
「へいへい」

私がもう一度掛け布団を掛けなおすと、
MZDは偉そうに(ここ重要!)ポケットに手をつっこみ、ニヒルな笑みをうかべた。





おお…。なんか初めて?MZDっぽい表情したぜ…今…。





「じゃあな、
「…うん、」










またね、MZD










そう口に出した瞬間、
染み込むような幸福が、胸の底から湧き出た気がした。






























2009.7.14