あれぇ……

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜

スランプるわ〜……
「大丈夫ですか?」
「おう……ありがと……」

元はお前の所為だけどな。

そんな言葉を飲み込んで、カイトのもって来てくれたお茶を飲む。

翔太さんの作ってる曲は、ピアノっぽい音がメイン?な感じで、
サビに入ると疾走感があるというなんともアニソンぽい曲……





あたたたた!すいません!
ごめんなさい!石投げないで!(ヘタレビビリチキン)






「ぶー…なんか全然良いの思いつかん……二番の歌詞が。
つーか書いてて恥ずかしいわ」

読み直すと照れる照れる。恥ずかしすぎるっつーの。
とりあえずイメージイラストとか描いてみよっかなぁ……

パソを起動させてペンタブを握る。
ううむ、久しぶりだねマイペンタブレット!

「カイトかっこかわゆく描いてあげるよ」
おねがいします!


あれ……可愛いにつっこまないんだ……。
ちょ、ちょっと期待してたのに……(夢見すぎです)





空間の再構成」で音を出してペンを動かす。
メルトみたいに、ピアノの音が心地よかった。
空の下で聞くと良さそうな爽やかーな曲だなアレは。
カイトの髪に空って映えるだろうなぁ……げへへ(最悪)





指が動く。ピアノの音にあわせて、流れる。





細めの線で、背景に少し溶け込むくらい。
カイトの服は…あーいつも通りでいっか。いつものほうがいいな、うん。
髪の毛はさらさらがいいなぁ、艶々よりも……(私情)
シンプルだけど、こうなんていうんだアレ……










うん、私、脳内解説止めろ。(きっぱり)





集中できんっつーの!



















「……っしゃーい!
「(びくっ)」

出来たよイラスト!

もうなんか指の爪とかものすごく力入れたんですけど。
歌詞とかないからちょと時間かかったなぁ。

指を運動させれば、ぽきっと音がした。

「出来ましたよー」
本当ですか!

カイトは私のほうに寄って来た。かわゆすー
…私もちょっと歌詞製作の意欲が湧いてきた。多分。

「ほわぁ……」


ほわぁ……って何この子可愛い!(だまらっしゃい)





ちなみにイラストは、まぁ、のびのびと歌ってるカイトだ。
ビルに映る青空バックに屋上……という設定だけどもどうだろう。
こう、カイトがまるで天使みたいに見えるように
試行錯誤したんだけどな……(は?)
ちょうど少し風が吹いてるからカイトの髪さらさら。(日本語おかしい)






やっぱり、空にあうねぇ。

「すごいですね!」

えっ、ちょ、さん!?





ぼろっと涙が出た。





多分疲れてるからだね、うん。(雰囲気ぶち壊し)

「曲じゃないけどさ……なんか褒めてもらえたの嬉しいなぁ」
「…そうですか」

カイトが少し笑って背中を撫でる。

今日涙が出たのは、この一粒が最初で最後。




















端の折れたページは指が弄くった後の癖
力の入らない足には何も着せていない

外は晴れ 温い空気が彷徨うだけ
只々声だけが動いている

声が壁とコードを越えて飛び出す迄
君の髪を通り抜ける迄
Some time...






音が一時止んだ。





「……どうすか」
「まぁ、いいと思うけど……」

なんじゃその曖昧な返事。
翔太さんは既にパソコンと向き合っている。

まぁ、歌詞製作初めてだからなぁ……トホホ

「二番は?」
「出来てますけど一応……」
「んじゃ、一回通して、調教して





調教☆だと!?





萌えるね、萌える。ハァハァ(気持ち悪い)
これだからカイマs(こら)

「……聞いてる?」
「あー聞いてますって」

翔太さんの訝しげな顔も可愛いね。(聞いてない)

「あ、でもちょっと待ってください」
「何でですか?」

歌い終わったカイトが、にゅっとパソコンから出てくる。
先ほどの合成音ではない。

「ちょっと気に入らないところが……もうちょい、なんですけど」
「……分かった」

翔太さんは頷いた。

「後、ちょっとだけどなぁ」




















「んー」

汚いが、シャーペンを加えて思案中。
これでいいかなぁ……うん。

さんっ」
ふぎゃ!

ビビビビビビビビったー驚かせるなよカイト!(ヘタレビビリチキン)

カイトは肩に両手を置いたままノートを覗き込んできた。
が。

「や、やめーい!恥ずかしいでしょ!
えええ!?

ばっと体でノートを覆った。
はっずー……

「だ、大丈夫ですって……」
「無理無理!」
「……ちょっと歌わせてください」

……そう言うのなら。

恥ずかしいので、ノートを渡してからカイトの顔を見ないことにした。
あーはっず。

とりあえず「空間の再構成」で音を流してみる。
ピアノの段々と強くなる音はやっぱり気持ちが良い。

カイトの、合成じゃない声が響く。





端の折れたページは指が弄くった後の癖
力の入らない足には何も着せていない

外は晴れ 温い空気が彷徨うだけ
只々声だけが動いている

声が壁とコードを越えて飛び出す迄
君の髪を通り抜ける迄
Some day...



片方の聞こえない空色のヘッドフォンは
君に貸した事があったよなって思い出した

久しぶりに耳に掛ければ 違和感の有る音
其れでも何故か歌いたくなった

心と喉を震わせて青い空に響け
君に聞こえて仕舞えば良い
Some time...



立ち並ぶビルの隙間から君が見えた
思考は追い着かずに体が動く



人の波を縫って君に追い付け 俺の声
君が髪を揺らして其れで

心と喉を震わせて青い空に響け
君に聞こえて仕舞えば良い

Just now...






「……





喉から、声が出た。
響く音と、滑らかな声が滑り落ちるように耳に入る。






音が、声が生きている。





そんな感じだった。
確かに生きて、そこにいたんだ。

「……さん、さん!
っほわぁ!?

がくんと揺さぶられて思考回路が動き出した。

「な、何?」
すすす、透けてます!










「……はい?










透けている=もう消えます。

あまりにあっさりな展開に叫んだ。
あ、翔太さん起きないかな(オカン

えええええ!?折角今完成したの……に……
……まぁ、カイトの歌聞けたしいっか……」

これわたしといて、とカイトに歌詞のメモを渡した。
絵はもう翔太さんのパソに移してあるし。

が、カイトはぷるぷると震え





駄目ですー!!!!





抱きついてきた。

お前は某可符香ちゃんか!
嬉しいけどね!(おま)

「んな駄目って言われても……」
あ、足が透けてる……っ!





聞け。





喚くカイトに、ゆっくりと声を掛けた。
聞こえてるかどうかは別として。

「……はぁ。翔太さんによろしくね。料理、ちゃんと作ってあげるんだよ」

カイトの頭を見えない手で一撫で。










顔をあげたカイトの泣きそうな顔を最後に、わたしは消えた。
(情けないなぁ、もう)










後日、upされた曲を見てみた。
DL数は、まずまず。
だって、カイトの声と、翔太さんの音だからね。

どうもS太です。3度目のオリ曲。
「Blue time」。爽やかに仕上げました。DLはこちらから→http://.....................

作曲 S太  歌詞・絵 某さん   作詞、ありがとうございました。






























2008.5.31