あああ!!!

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜





あ!





ハルヒはっけーん!
ていうか校門から出ようとしてる!あかんそれは!





……こうなったら、必殺!





「くっ、……こ、校舎の裏にUFOがぁー!!!!!!!
えっ!?」「っと見せかけ捕獲ーっ!





思いっきりハルヒにルパンダイブした。
もちろん、咄嗟の事でハルヒは受身が取れない。

くっ……こんなラブコメ風のシチュを自分で作ってしまうとはな!
今体男だしな!





「いっつつ……って、!?アンタ、何やってんのよ!?
「……アハー





ハルヒの手から数センチ離れたところにあるステッキを掴む。
それから、ゆっくりと立ち上がった。





「あっ、ちょっと返しなさい!」
「いやいや、普通に私のだからね、これ」





ハルヒがステッキを掴もうと、ジャンプする。しかし、男子高校生となった私の背に届かない様子。
……これなんてギャルゲー。





「さっ、かえろかえろ」
はぁ!?
「、っと」





先ほど転ばせたときに、傷を作っていたらしい。
ハルヒの右腕の側面が、少し赤かった。
右手を掴むのをやめ、左手に変える。





「さっ、帰りましょー」
ちょっ、ちょっと、こ、こらぁ、離しなさいー!





やーなこった。




















「はぁ……やっぱりこの姿の方がいいな」
「そー?私はショタキョンもおけーでしたが」
お前はな





元の姿に戻り、ほっと一息をつくキョンに自分なりのコメントを漏らす。
私も、元の姿に戻った。





部室に戻ってから、救急セットを取り出して、対面のハルヒを治療した。
……まぁ治療って言うか、消毒液ちょいちょいしてるだけですが。だって痛そうだし。

バンソウコウはどうしようかな、と考えて、結局貼ることにした。どうせすぐに取っちゃうだろうけど。
大きめのバンソウコウをべたっと貼り付ける。





……にしても。





……
……





ハルヒがさっきからぶすくれ、私の顔を見ようとしない。
気まずい。

……いやまあ、機嫌取りはね、主人公であるキョンに一任するとしてさ。





なんで頬赤いのこの子。





「……ハルヒさーん?
「うっ、うるさい!早く離しなさいよ!」





ハルヒの手が勢いをつけ、私の左手から逃げる。
……んー?怒ってるってわけじゃないんだよなあ……。





相変わらずみくるちゃんは……あれ、びくびくしてない。
むしろ、なんか不思議なものを見る目であった。何故。





「それはそうと、、ちょっといいか?」
「んん?」





ちょっと、と手招きされ、パイプ椅子から腰を上げる。
キョンに付いていって、部室を出る。

キョンが振り向いて、向き合う形となる。






……やべ。嫌な予感する。
いいのかホイホイついてきちまってですね、分かります。










慌てて逃げようとしたら、部室のドアノブを押さえ込まれた。





こ れ は ま ず い 。





「お前……なんで、力を使わなかった?
「え、えーと、いや、今回はつかえなかったんですよ」「嘘つくな





ビシッと切り込まれ、私は押し黙る。





そうなのである。





実は、ハルヒの帰還を待っていなくても、空間の再構成でどうにだってできていたのだ。





「……や。何?忘れてたんだよきっと!
きっと?
スイマセンオボエテマシタなんかキョン怖い!ママンみたい!





キョンはしばらく私を睨むと、ビシッ!と指を突きつけた。
あんまりの近さに目を潰されるかと本気で心配しました。





!お前はそこで一時間正座してろ!
えええ……」「ええ、じゃない!さっさと座る!





渋々、靴を脱いで座る。





「一時間経ったら見に来るからな」
このどSきょん(ぼそっ)」
何か言ったか?
いえ何も!





そうか、と言った後キョンは部室に消えていった。










「………………どえすきょんもえ」





そう呟いた言葉が、空しく廊下に響いていった。





























2010.5.3