ふう。

Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜





部室に戻りながらいろいろ雑談して、
あ、そうだ、とキャラソンの存在を思い出した。

屋上ではあんまりにもKYすぎるから言えなかったんだよね。

手にヘッドホンとIPodを出現させると、キョンがきょとんとした。
あうー、可愛いぜその顔。





「何だそれ」
私のIPod
そういう意味じゃないに決まってるだろ
「まあ聞いてみて」





キョンに一時停止をかけ、少しかがんでもらう。
ヘッドホンをかけて、と。





「ほいっ、ぽちっとな」
……





IPodの本体を持ったまま、キョンの反応を窺う。
キョンは一瞬顔をゆがめたかと思うと、遠い目になり、
すぐにヘッドホンの線を引っこ抜いた。「あっ、こら乱暴に扱うんじゃありません!」





キョンは顔を背け、じっと黙って歩き出した。
私は慌ててキョンの後を追う。

そして気付いた。





キョンの耳が、熟したように赤くなっていることに。「(……ほほー)」





口が意地悪く歪むのが、自分でも分かる。
IPodにヘッドホンのコードを差しなおし、
ホモ・サピエンス・ラプソディ」をかけてみる。

が、すぐにIPodを奪われた。





あー何すんだこのキョンくん!
前にも聞いたぞ、それ





私をジト目で見つめながら、キョンは私のIPodを没収してしまった。
くそ……!ズボンのポケットに入れたら手を突っ込みにくいでしょ!?





ぎゃあぎゃあいいながらヘッドホンを奪取しあう。
と、ふと部室の前に誰かいることに気がつき、二人で停止する。





そこには、腕を組んで超不満顔のハルヒさんがいました。





「「……」」





多分今キョンと心がシンクロしてるんじゃないかな。

ハルヒは組んでいた腕を解き、
片方の手を腰に当て、もう片方の手で私たちを指さした。





誠に遺憾よ!何してるの!?
はこっちに来たのなら、団長である私に報告すべきだわ!
それにキョン、あんた一体どこをフラついてたのよ!
が来たからって浮かれないでよね!

「「……」」
返事は!?」
「「……へーい」」
「ちゃんと返事しなさいよっ、次やったら死刑だから!





ふん、と言って部室に入っていってしまったハルヒを見て、二人で顔を見合わせる。
しかし、怒られていたにも関らず、私の顔はにやついていた。





「……何にやにやしてんだお前」





溜息をつきながら、私の顔の緩みを指摘してくるキョン。
えーだってさ!だってさ!





……あんなツンデレ見せられたら普通にニヤつかないか?





基本的に、私はツンよりデレが好きだ。
だけど、こういうのを身近で体験するとすげー微笑ましいってことに気が付いた。

もう耐え切れないので今晩辺りネタに使わせてもらいます!






うへへ、と笑いながら緩みきった口元を押さえていたら、キョンが私の頭を軽くこづいた。





「ほら、早く入るぞ。また怒鳴られたら堪らん」
「あ、はーい」





部室のドアノブを回し、私とキョンは部室に入った。




















「あ、みくるちゃんこんにちはー」
「あ、こんにちはー」





ねーって感じでお互いに首を傾ける。
かわいさはみくるちゃんの方が無限大に勝っていて泣きそうである。

ずっと笑顔のまま停止していたら、ハルヒが近づいてきた。





「久しぶりね、
「おー、久しぶり(なんか長年のライバルに会ったみたいになってるなあ)」





どうやら怒りはおさまったようだ。
ハルヒが挑戦的な目を私に向ける。





「それで、何かできるようになったのかしら?」
人をそんな芸する犬みたいな……まあ色々やれると思うんですけどね」





あ、そうだアレやろう。





星のついたステッキを出して、と。
その尖った先は、キョンに向ける。





ほあたっ☆
のわー!?





……あれ?意外となんか雷ビームみたいなの出たな。
もくもくした煙とかかと思ったのに。いや結果的に出てるけど。硝煙っぽいのが。





ぬあー!?
ぎゃあああああああ
ショタキョン萌えええええええええ!!






そこには、今の年齢よりずっと幼いであろうキョンがいました。





邪道といわれても構わない!
俺はショタが好きだ!






というわけで、ヘタリアの世界で手に入れたブリタニアエンジェルの力を使ってみました☆
見事なショタキョンが出来上がってテラカワi「おいっ、早くもどぶっ!

キョンが私に向かって攻撃しようとしてきたのか、一歩踏み出すもだぶだぶの服に躓く。

あぎゃあああああ可愛いいああ楽園みたいやんなあああああ!!!
「あらっ、これ魔法のステッキ?面白そうね、貸して頂戴!」
えっ





私の手からブリタニアステッキ(多分)が奪われ、そしてその矛先は私へ……あれ?





えいっ!





ハルヒが、魔法少女アニメ並の可愛さでステッキを振って、私はってなんだこの煙!?





うげっ、ぐっ、





げほげほ、と喉から容赦なく咳が出る。
幸い喉に張り付く感じは無くて、すぐに喉を守ることはできたけど……。





……何か、あの。
視界が、高いっていうか、なんていうか。あの。






「きゃーっ!これすごいわ!やっと役立つものを持ってきたのね!
これで一波乱起こしましょっ!
や、波乱は起こすものじゃ……あれ





あー、と声を出してみる。
、なんか、低く、ないか。





ちょ、誰か鏡、」「じゃあ私はちょっと外に出てくるから!皆は私が帰ってくるまで待機ね!





私の声を遮り、ハルヒは騒々しく部室を出て行った。
私は少し焦りながら、「誰か鏡を……」と呟いた。

ふと、視界に誰かの髪の毛が入り込んだので、左に視線をずらす。
そこには、鏡を持ってびくびくしているみくるちゃん。

私は鏡を受け取って、神様神様、どうかあんなことやこんなことになっていませんように、と祈った。










鏡の中の私は、男になっていた。






























2010.2.11