いい天気だわ……。
Her changeable life
〜彼女の変わった生活〜
あーもー、何度思い出しても恥ずかしいなアレ!
こりゃあ寝る前に思い出してベッドで悶々とするフラグだ。
だってあんな甘い感じのシー・バード声で言われたらなるだろ!?
自分もアグナ・パレスの王子様にはドキドキさせられたわ畜生!
「だが!」
今日は体調もいいし、キヨに作ったお弁当の残りを持っておでかけしてみた。
そんな中であの痴態を思い出すなんてもったいない!
なんちゅうかあっちでは自分で作ったお弁当→ピクニックの流れとか無かったから新鮮だ……。
適当に電車を乗り継ぎ、ぷらぷら歩く。いやぁー、街が変わるとなかなかに面白い。
人の密度も多くなってくる。
いろんな店を入ったり出たりしながら、時折買い物もする。
しばらく歩いていくと、大通りを抜け、住宅地の立ち並ぶ場所へ。
そしてそこには大きな坂道が。
「……上るべきか、上らざるべきか……」
無視っていう選択肢はないんだぜ!
……最近運動不足っちゃ運動不足だしねえ。
まぁいいか、と結論づけて坂をあがる。坂は先が見えなかった。
「うへえ、長い」
まるで眩暈坂だぜ!……用法を間違ってる感が。
多少足をがくがくさせながら上りきると、少し先に小さな展望台が。
つっても、小さいベンチと雨風しのぐための屋根があるだけだけど。
息を整えて、ちょっとにやける。
少し離れたところには時計もあって、正午過ぎだった。
「ふいー……ちょうど時間もいいし、ここで食べよっと」
そうしてベンチに足を踏み出そうとしたとき、足に何かがこつっとあたった。
ぐ、と私は歩みを止める。
「ん?」
拾ってみると、それは紫のバラのストラップだった。
あんまり汚れてはいないし、最近落とされたやつかな。
なかなか品がいい感じ、と見ていたら、軽い足音が聞こえた。
「?」
なんとはなしに振り向くと、……あら?
「(!?)」
「あ、それは……」
観月、出てきた。
観月は私の手を指差して固まる。
……これもしかして観月の?えっ?(混乱中)
なんか意味がわからない、と思いつつも、ためしに手のひらを差し出す。
「あの、もしかしてこれ落としたんじゃ……」
「ああ、そうなんです。ありがとうございます」
観月に渡すと、少しだけうれしそうに笑う。うわー、生だ。
ていうかバラのストラップ……笑うべきなのか、そうなのか。
悶々と考えていたら、「何か?」と観月に聞かれてしまった。うおう。
「あー、いや、なんでも。もしかして探しに来たんですか?」
「いえ、偶然立ち寄ったので、昨日ここでなくしたかと」
そういってあの独特の笑いをもらす……いや骸とかに比べたらだいぶ普通だわ。
むしろ石田さん的には普通だわ。
ていうか何で私は王道に会わないんだ。見事に立海氷帝青学四天宝寺あたりを避けてて吹く自分でも。
むしろこっちから会いにいくぞゴルァ。
とか一人で考えてたら、「では」と一礼して観月が去っていってしまった。…。
「もうちょいグイグイ話しとけばよかったなー……」
今は二年生だろうし。
ていうかここ学校の近くなのかな?それっぽいのは見なかったけど。
「まぁいいか」
神様のプレゼントでしょう、とか考えてひとりごちる。
それもあるけど、
お昼だお昼。
ベンチに座ってちょっと景色を眺めてからお弁当箱を開ける。
このすでにネタバレしてるのにwktk感は異常だな。
そう思いつつ、私は蓋を開いた。
2012.2.29