「あんた馬鹿じゃないの……」
「何がでござるか?」
「……」





これが終わるまでは家に帰れない、と笑って言われたので(ムカつく)、
黙ってついていく。あんまり反抗して、何かされたら嫌でもあるし。





「ワイリー……Dr.ワイリーって言ったら、超ヤバい犯罪者じゃん。ついさっきだって……」
「?」





そう。ここに来る前、倉庫ではめていた、イヤホン型ラジオから流れた緊急ニュース。
それは、ワイリーのロボットが、都市部の破壊をしていて、そして、正義の味方、ロックマンがそれを止めた、というニュースだった。

「……大体どうするの?警察に突き出すの?もしも脱獄とかして、私に、」
「その為のサンタナ・システムでござる」
「……あのさ」





さっきから思ってたんだけど、そのサンタナ・システムって何。





そう言うと、シャドーマンは振り向いて、私の右腕を取った。
右腕には、まだ変な機械がついている。恐らくこれが、サンタナ・システムだ。

シャドーマンはしばらくそれを見てから、一つのボタンを押した。

ウィィ、と小さく音がして、機械で覆われている腕の部分が、少し暖かくなる。





『――サンタナ・システム起動』
「!?しゃ、喋った!」
『体温、脈拍、共に安定。ユーザー・ネームをどうぞ』





確認をするようにシャドーマンを見遣ると、「喋れば大丈夫……だと思うが」と少しはっきりしない返事。
やきもきしながらも、ゆっくり、自分の名前を喋ってみる。

『……ユーザー・ネーム一致。オペレーター開始します』
「……何か、言ってるんだけど」
『音声により操作可能。メニューをどうぞ』
「戦闘システムの起動を頼む」
「ちょ、ちょっと、横から口はさむな!」
『――戦闘システムを展開します』





ぱしん、と音がして、右の掌が、厚いグローブで包まれる。

『保護完了。掌から戦闘命令をします』
「……あーもう!何これ、結局戦わなきゃいけないの!?」





無理じゃん!ロボット相手に!
そうシャドーマンに噛み付くと、シャドーマンは目を細めた。





「大丈夫大丈夫。拙者がついているでござる」
「嫌だ!絶対帰る!」
「帰る……と申されても、」





もうそこに、ワイリー博士の基地が。





シャドーの指さす先には、何だか悪趣味なドクロの建物があった。





「……帰る」
「まぁ無理でござるな」
「いぎゃああああ!馬鹿ー!担ぐな持ってくな私行かないー!」
「まぁ人生諦めも肝心でござる」
「あんたが諦めてよ……!」