あともう少しで扉についてしまう、とびくびくしていたら、
シャドーマンの目の前に、何かが降り立った。





「!?」





真っ赤な機体が、見えた。





咄嗟に、シャドーマンが私を庇うように腕を伸ばした。
その腕に、私は少しだけ安心してしまう。

そのロボットはヒューマノイドタイプで(授業で習った)、多分――ワイリーのロボット。

吊りあがった目が、私とシャドーマンを射抜く。





「侵入者……ロボットと、人間の女が一人か」





そう呟くと、そのロボットは何かを構えた。

円盤のような、……でも、縁が、ギザギザと、ノコギリのようになっている。

どうするんだよ、と思いつつシャドーマンを見上げたら、「大丈夫でござるよ」と微笑まれた。
……何が大丈夫なの。そう思いつつも、少し落ち着いた自分に呆れる。

ふと、右腕がまた熱くなった気がした。





『――戦闘オペレーションを開始します』
「……は?」





「メタル、ブレード!」





赤い機体の声に顔を上げると――先ほどの円盤が、眼前に迫っていた。





当たる。そう思った瞬間、目をつぶっていた。





「っ……、…………?」





しかし、衝撃は無い。





ゆっくりと目を開けると、「……は?」





私の手――正確にはグローブが、その円盤(メタルブレード?)を掴んでいた。……手がじんじんするのは気のせいじゃない。

殿!次が来るでござるよ!」
「へ?っおわー!?」





足が勝手に動いたかと思うと、大きく後ろへ飛躍する。
着地してすぐに、横へと体が動く。

私のいた場所には、どんどん円盤が突き刺さっていく。





ぞっとしながらも、体は勝手に動く。





「シャドーブレード!」





シャドーマンが……何あれ、手裏剣?





大きな手裏剣が、赤いロボットへ向かっていく。私を睨んでいた所為か、一瞬反応が遅れ、腹に手裏剣がのめりこむ。

ロボットは膝を付く。





「ちょ、ちょっと、シャドーマン、やりすぎじゃ……、」





一瞬だった。





目を離した瞬間、無数のメタルブレードが、私へと牙をむいていた。





固まる私を庇ったのは、





シャドーマンだった。





突き飛ばされるように倒され、頭を強かに打つ。





「……っつ……」





ぼんやりと、目の前が霞んだ。
何だ?いつも、こんなことくらいじゃ、目眩なんて……。





ず、と生暖かくて重い機体が私にのしかかる。
意識は、地面に染み込むように消えた。