「ていうか、何で私は拘束されててシャドーマンはフリーなの?」
「ロボットに罪は無いからな」

赤い機体に人間差別された。こいつ一回ボコボコにしたいと一瞬思った。
私の睨みも気にせず、そいつは悠々と部屋を出て行った。

鉄格子に、シャドーマンが顔を近づける。





「できれば拙者も共にいたいのだが、……周りのロボットに監視されている故」
「だろうね」
「しかし、世話役は買って出るつもりでござるよ。しばらくはワイリーナンバーズでいるつもりでござるし」
「お二人さん、おもいっきし会話聞こえてンだけど」

蛇ロボット(スネイクとかそんな名前かな、もしかして)が、呆れたように私たちを見てくる。
が、無視。





「ていうか、ワイリーナンバーズ……悪役になるってこと?」
「そうでござる」
「……当初の目的からバンバン遠ざかってんじゃんか」





そういうと、シャドーマンは笑って「拙者の仕事の最優先は殿を守ることでござるからな」と言った。
その笑顔に、少しだけ凹む。だって、私のせいで怪我しちゃったし。





「……傷。痛くないの?」
「ん?ああ、」「もう治ってンぜ、一応な」





蛇ロボットが口をはさむ。
私はその、蛇ロボットの顔をじっと見る。まじまじと見る。





「……こんなとこでアレだけど、名前何?」





そういうと、蛇ロボットはきょとんとして、しばらく考えるポーズ。
やっぱ簡単に、侵入者に名前教えないか?





「……スネークマンな」
「うわ、ビンゴ」
「は?」
「や……なんか蛇に頭齧られてるから、そんな名前かなーって予想してたら当たってて」





蛇、基スネークマンは、はぁ?という顔をして「齧られてねェよ」とだけ零した。ですよね。





「よくそんな腑抜けた態度でいられんなァ」
「そっちが気の抜けたツッコミをしてくるからじゃん」

私だって、内心ビックリしている。てっきりさっきの真っ赤っ赤なヤツみたいに、冷たくあしらわれるか思ったのに。





「……あ、そだ。私も名乗った方がいいよね」
「ン?ああ、別にどっちでもいいぜ」
「多分その内名前くらい割れるしいいや。ね。……こっちのロボットは、挨拶した?」





私はシャドーマンを指さす。シャドーマンはきょとんとした顔で佇んでいる。
スネークマンは、「知らねェけど……何だ、シャドー、だったか?」と私達の会話から単語を引き出す。

シャドーマンは少し顔を緩め、「そうだ。拙者、シャドーマンと申す。気軽にシャドーと呼んでくれてかまわないでござる」と挨拶をした。
スネークマンも頷いて、「オレもスネークでいいぜ」と挨拶を返していた。それから、私に向き直る。





「お前もな」
「は?」
「スネークマン、って一々言うのは舌が疲れるんじゃねェの?」
「……ああ」
「でも殿、拙者はシャドーマンと呼んだままでござるな」
「だってアンタとはあんまり仲良くしたくなかったんだもん」

……でも、これから(強制的に)お世話になるワケだ。





「……まぁ、じゃあ、そうやって呼ぶよ」





何だか一歩踏み外した気がしないでもないが、私はそう言って会話を強制終了させた。





「……そういや、さっきの真っ赤なヤツは?アイツなんていうの?」
「ああ……アイツはメタルマンな」
「ふうん。……私メタルマン嫌い」
「お、はっきり言うねェ」
「堅物だし、人のことネチネチと……腹立ってきた、殴りに行きたい」
「やめとけやめとけ」