(彼女行き着けのおでん屋台にて)





「っちゅーわけで付き合って一周年かんぱーい」
「いやいやいや、何を当たり前みたいに屋台にいるんですか」
「新八くん、アタシ最近改宗したんだよね。『クリスマス滅びろ宗』から『カップルよ永遠であれ宗』に」
「人の話を聞けェェェェェェェ!!!!つーかみみっちいなアンタ!完全にいやらしい人だよ!」
「まぁそれもしんぱっつぁんのお陰だけど」
「はっ!?ちょっ、えっ」
「というわけで食べよう。おっちゃんはんぺんー」
「クリスマスだって言ってんだろーがァァァァァァァ!!!」





(五分後、結局おでんを食う)





「いやなんていうかね?例え新八くんがアタシのステディになっても、この習慣はちょっとやそっとじゃ治らないわけ」
「いやアンタ、どんだけここに通ってるんだよ、完全にサラリーマンのオッサンだよ!」
「まぁ硬いこと言わないでよ。なんつうか今は好きな人がそばにいて無茶苦茶心穏やかだから」
「ぐっ……。でもさん、本当にいいんですか?その、なんていうか……カップルみたいに、イルミネーションとか見に行かなくて」
「君じゃ私の横に並ぶと劣るよね」
「ふざけんなァァァァァァ!!!」
「冗談だって、ジョークジョーク」
「全く、さんの冗談は性質が悪すぎですよ!」
「でもその冗談のお陰で今こうしてカップルじゃん?アタシすごくね?」
「すごくねーよ!」
「そーお?……まぁ実際問題、外から見たら恋人なんてアクセサリーでしょ」
「言い切った!言い切ったよこの人!」
「まぁアタシは別にそう思ってないよ」
「え」
「ただもう少ししたら私を魅惑のニート生活というヒモに方向転換させてくれるんじゃないかなって期待中。万事屋って昇進とかないん?」
「ねーよ!!!!!」





(帰り道にて)





「なんだかさんといると付き合ってる感じがしないです……」
「自然体はいいことじゃない?」
「そういう意味じゃないです……」
「……私は付き合ってる感じするよ」
「……冗談でしょ」
「いや真面目にさあ。本当、表面上は前とそんなに変わんないけど、なんていうか、愛は地球を救うよね?」
「いや知るかァァァァァ!」
「やだなそんな突っ込まないでよ」
「アンタ真面目な空気が3秒と持たないな!」
「小学校のつーしんぼにも『元気いっぱいで明るい』みたいなこと書かれてたしね」
「ポジティヴシンキングすぎる!」
「まぁこんな不真面目真面目なアタシだけど」
「真面目じゃねーよ、アンタが真面目なら全人類真面目だよ」
「例えば新八くんにプレゼントを選んだりしてるときは、付き合ってると感じるよ、もうありがたいほどね。というワケで、はい」
「……はい?」
「中身はてっぶくろー。どうぞ思う存分使ったらいいよ。穴開ける勢いで」
「いや開けませんけど……アンタさらっと大事なこと言ったな!?流しそうでしたよ!」
「それは去年の新八くんにだって言えることだよ」
「うぐっ」
「さらっとなんかイケメン風に告白してきやがって……3歩歩いたら忘れるアタシの脳みそ沸騰寸前だったわ。考えすぎで」
「……それは、」
「帰宅してうっかり水風呂につかるところだったよ」
「どんな間違いだァァァァァァァ!!!!!!!」
「まぁそんな新八くんに幸あれ、手袋で」
「いや何アンタいい話風にまとめようとしてるんですか」





「あ、じゃあアタシここで」
「はい」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……何新八くん」
「いやさんこそ」
「私は別に何も」
「奇遇ですね、僕もです」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……これはアレ?アレやっちゃう感じ?」
「あーそうですね、アレですね、アレ」
「よーし行くぞー」
「いつでもどうぞ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……っぷは!息が出来ん!」
「ちょ、色気の欠片も無いですねアンタ!」
「うっせーな!唇押し付けてその後どうすりゃいいかわかんないの!アタシマジで初体験だから!」
「初体験とか言うなァァァァァァ!僕だって初めてですよ!」
「こういうときは男がリードすると思ってたけど眼鏡には負担が多すぎたか……」
「オイィィィィ!!!!!!眼鏡って何だァァァァァ!!!!!!」
「あーもう良いって何か恥ずかしいから帰る!ばいばい!」
「は、恥ずかしいって、……さよなら、また」
「くっそなにこの中学生日記……」
「それはこっちのセリフですよ……」










may you have a warm,joyful christmas this year...